海の森「藻場」

藻場とは?

藻場は、海にある海藻や海草がつくる森林や草原の景観をもつ群落のことを言います。

藻場はアワビ、サザエ、ウニ、コウイカ、ハタハタ、ジュゴン等多くの海の生き物の産卵の場、稚魚の成育場、餌場、つまり生息場です。海洋の生物多様性にとって重要な場所であるばかりでなく、私たちの生活にも必要な漁業にも不可欠です。

藻場は植物であり、海水中にとけている二酸化炭素(CO2)を吸収し、光をつかって光合成し、酸素を海水中に放出します。

また、生長に必要な栄養塩を吸収し、水をきれいにします。こうして、藻場は、生き物が生きられる環境を作るのに大きな役割を果たしています。
これらの酸素は、私たち陸上の生き物にも重要ですし、光合成で吸収する二酸化炭素は、大気から海水に入ったものです。

日本の藻場は、①岩の上に生育するガラモ場、アラメ・カジメ場、コンブ場などの海藻の藻場と、②砂地に生育する海草藻場(主な構成種の名前をとってアマモ場と呼ばれることが多い)にざっくりとわけられます。

磯焼け

磯焼け都道府県1

藻場の減少が確認された都道府県の分布(2015年)水産庁「磯焼けガイドライン」を元に作成

海が傷んでいます。日本の沿岸から、海藻が生い茂る藻場が急速になくなっています。これを「磯焼け」といいます。

いま世界中の海で、磯焼けが広がっています。

日本では、多くの磯で、増えすぎたウニが海藻を食べ、藻場が衰退しています。ウニによる磯焼けの海は、砂漠のような光景が広がります。

日本では、海に面したほとんどの都道府県で磯焼けや藻場の減少が確認されています。

ラッコがいる海ではウニを捕食することで海藻の森を守っています。ラッコがほとんどいなくなってしまった日本ではウニをとる漁師さんが磯焼けを防いでくれていました。

でも、増えすぎたウニは餌の海藻がなく身入りが悪く商売にならないので漁師さんも取らないのです。

ウニは10年以上生きるので、ウニを原因とする磯焼けは長期にわたり続きます。いま、多くの海の磯焼けは、人が手を加えないと改善しない状況にまで悪化しています。

日本では水産庁が「磯焼けガイドライン」を発行し、全国の漁業者に磯焼け対策への取り組みを推奨しています。

現在、日本全国の漁業者やダイビングショップ、市民団体等が磯焼けに対抗する取り組みを行っています。

藻場が消えてしまうと、藻場が保全する海洋生物の多様性が損なわれ、アワビやサザエ等をはじめ、沿岸漁業に深刻な影響を及ぼしてしまいます。

ブルーカーボン

藻場は、海の生態系にとって欠かせない存在であるだけでなく、大気中の二酸化炭素を、熱帯林とかわらないほど効率的に貯蔵してくれる場所でもあります。

陸上の森林や樹木が吸収する二酸化炭素をグリーンカーボンと呼ぶのに対して、藻場やマングローブ、植物プランクトンなどの海洋生態系が吸収する二酸化炭素は「ブルーカーボン」と呼ばれ、近年その価値が注目されています。ブルーカーボンとは、国連環境計画(UNEP)が提唱した言葉です。

世界第6位の長い海岸線を持つ日本では、沿岸域の藻場がブルーカーボンに大きく貢献していることは間違いありません。
そして貴重な二酸化炭素の貯蔵場所が失われるのです。
大気中の二酸化炭素濃度が上昇すると、温室効果で気温を上昇させます。
二酸化炭素濃度が上昇している現在、夏には猛暑、熱波が、海では水面温度が上がり、水蒸気が発生するため、ゲリラ豪雨、台風の強大化が起こっています。藻場の減少、「磯焼け」は更にそれを助長します。

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